365体育app4年度卒業式 式辞

穏やかな日差しに春の訪れを感じる早春の良き日に、卒業を迎えられる医学部、保健看護学部、助産学専攻科の皆さん、医学研究科修士課程、博士課程および保健看護学前期博士課程、後期博士課程を卒業、修了される皆さん、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。また、卒業生を今日まで育てられてこられたご両親をはじめ、ご家族の方々にも、心よりお慶び申し上げます。

また、本日の卒業式を挙行するにあたり、和歌山県知事岸本周平さまをはじめとして多くのご来賓にご臨席を賜り心より御礼を申し上げます。

皆さんの学生生活は、365体育app感染症の世界的な大流行のため、この3年間、多くの制約の中での生活を余儀なくされました。対面講義ができなくなり、遠隔講義への転換や、実習内容の変更、期間の短縮などを余儀なくされました。また、クラブ活動も自粛、クラスメート、後輩とのコミュニケーションも充分に取れない日々が続きました。大学としましても、新型コロナ感染症対策本部会議を立ち上げ、全学をあげて、流行の動向に対応して教育環境の維持に全力を尽くして参りました。本日、卒業式?修了式を無事に迎えることができますことを安堵しております。困難な環境の中で、学生諸君が各自行動を自粛をしながら勉学に励まれ、今日の卒業式を迎えられたことに敬意を表し、心よりお祝いを申し上げます。

さて、卒業される皆さんに餞(はなむけ)として、3つのことを申し上げたいと思います。

一つは、医学?医療の道は、果てしなく長く、深く、それ故、生涯が学びの道であることです。

卒業式を迎えられた皆さんは、それぞれの学部、課程を修了され、学生生活は本日をもって終了し、明日からは社会人として新たな一歩を歩み始めることになります。それと同時に皆様方は、「医学、医療」のプロとしての長い道程のまさに入口に立ったことになります。すなわち今日の卒業は、一つの節目ではありますが、一つの通過点、プロとしての学びの原点に立ったところといえるでしょう。これからの生涯にわたる学びを通じて、自らが成長し続けることができる職業、そして社会に貢献し続けられる職業であるとの自覚と誇りを持って、明日からの一歩を進めていただきたい。

第二に、医療の道を究めることは、人としての道を究めるということです。よく病を診ることではなく、病む人を診ることが大事であると言われます。患者さん目線で、患者さんによく説明し、納得のいく、安全で安心な医療を提供することが大事であります。医療人の求められる力量として、正確な知識と確かな技術を修得し、安全で確実な医療を提供することでありますが、一方で、患者さん一人ひとりを理解し、共感し、支援することができる資質が求められます。

本学の教育目標に、「高い倫理観と高邁な人間性」を涵養することが謳われておりますが、医療に求められる高い倫理観を涵養するためには、皆さん一人ひとりの人間性を高めていく努力が必要です。人としての道を究める、このことをどうか心の奥に秘めながら医療人として道を歩んでいってほしいと思います。

第三に、地域にあって世界を目指すということです。

私は、本学の運営の基本的なスタンスとして「地域とともに世界に羽ばたく大学」を掲げています。本学は、和歌山という地域にしっかりと根を下ろし、県民医療の充実にまい進する、と同時に、そこで展開される教育、研究、診療は世界に発信できるレベルを目指すという姿勢です。一昨年4月には、薬学部が開設され文字通り医療系総合大学として新たなスタートを切りました。今、まさに、本学を巣立つみなさんは、広く豊かな「世界的視野」を常に持って、「和歌山の地から世界に最新の医療を発信する」という大いなる気持ちをもって、それぞれが置かれた立場で、前進していただきたい。

皆さんは、本学に入学され医学部では6年間、保健看護学部では4年間、級友とともに学生生活を送ってこられました。この間の勉学、クラブ活動等を通じて育まれた友情、人間関係は、非常に大切な宝であり、医学医療に従事する私たちにとっては生涯にわたってかけがえのない存在になります。これからのみなさんの活躍の場が、研究の場、臨床の場であれ、また、県内、県外であれ、和歌山医大で学んだ同級生、先輩後輩の同窓生が、みなさんの医療人としての成長を支えてくれる、欠かせない存在となります。母校和歌山医大を愛すること、県内はもちろん、県外にでても、和歌山のことを思い愛し続けてほしいと思います。

皆さんの若い力で和歌山の医療の発展、和歌山医大の発展、ひいては世界の医療の発展に貢献していただきたいと思います。

本学の初代学長で世界的な生化学者であられた古武彌四郎先生の生誕百四十年を記念して、今年度記念誌を出版いたしました。是非、一読いただきたいと思います。本学の多くの卒業生が先生の遺された「古武語録」に薫陶を受けてきました。その中で、私が好きな言葉、「川に沿うて歩くな、川を渡れ」を皆さんへのはなむけの言葉として送ります。皆さんはこの言葉から何を学ぶでしょうか?

コロナ禍で経験した数々の試練は、今は学生生活の負の財産かもしれません。その困難を超えてこの日を迎えた皆さん、皆さんがそれぞれに秘めた力を、可能性を、これから地域で、世界で思い切り羽ばたく、旅立ちをする、その時が来ています。これからの皆様の人生が、大いなる夢のもと充実した医療人としての人生を過ごされることを心より祈念申し上げ、式辞といたします。

365体育app五年三月十五日
和歌山県立医科大学
学長 宮下 和久

このページの先頭に戻る